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359 やりたいほうだい
「あたしも雪ちゃんみたいな子、生みたかったなあ―」
「……何言ってんの」
溜め息を吐く瑞葉に向けて、美雪は引き気味にツッコんだ。
「雪ちゃんのお父さんとお母さん、うらやましいよね~」
海彩がぺたんと両手を合わせる。
「ねー」
「まだまだこれからでしょ。良い子を授かる可能性は無限にあるよ」
「違うの! 雪ちゃんは一人しかいないの!」
「いないの~!」
美雪の励ましも虚しく、二人は駄々を捏ねた。
「わたしを子供にして何がしたいんだよ……」
「えーと、一緒にくすぐりあいっこしたりとかあー?」「一緒にごはん食べさせあったりとか~?」「一緒にお風呂入ったりとかあー」「一緒におふとんで寝たりとか~」「一緒に服を脱がせあったりとかあー」「一緒におもちゃを選んだりとか~」「一緒に体を――」
二人はやりたいことを流れるように次々と口に出していく。
「瑞葉はもう子供生むな」
「ええーひどい!」