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358 聖なる一族
「おまえらはわたしのお母さんじゃないだろ」
美雪は上機嫌な瑞葉と海彩に真実を突きつけた。
「そうだよ……真のお母さんは一人だけ……。さあ、雪ちゃんが選んでよ!」
俯く瑞葉が大袈裟に暗い雰囲気を作る。
「どっちもわたしのお母さんじゃねーよ」
「お父さんか!」
はっ、と顔を上げた。
「お父さんでもねえよっ」
「……じゃあ雪ちゃんはどこから産まれてきたの?」
「うちのお父さんとお母さんからですけど」
「妖精さんかな~?」
海彩が瑞葉の問いに手を合わせて答える。
「ねえ、わたしの話も聞いて」
「なるほど。妖精を生むのもまた妖精か……」
「人の家族を妖精として扱うなっ」
「雪の精の一族じゃないの!?」
「人間の一族ですけどっ!?」