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352 好敵手
「あたしと会話噛み合わないのが疲れるんなら、海彩ちゃんと話すときも疲れちゃわない?」
瑞葉が頭を押さえながら不満げに口を漏らした。
「海彩はいいんだよ。寧ろ癒されるし」
「えへへ~」
美雪がちらりと目を向けると、丁度目の合った海彩が嬉しそうにわしゃわしゃと頭を掻いた。
「わかる!!」
瑞葉が手の平を返す。
「えへへへ~」
それでも嬉しそうに、照れたように、海彩は自分の頭を掻いた。跳ねた髪が元気に揺れる。
「お前はさっき、海彩のことちょっと貶してなかった? 話が噛み合わないって」
「いやいや、あたしと同じレベルまで上がってきたなーって称えてたんだよ!」
手を叩いて誤魔化そうとする瑞葉。
「これでアタシも、雪ちゃんのお嫁さんになれるね~」
ニコニコしながら海彩は両手を合わせた。
「前言撤回していいかな」
「ええ~~!?」
美雪はわざとっぽく溜め息を吐いてみせた。