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350 奇想天外
「本当に雪ちゃん、ちょっと太った?」
怖いもの見たさからか瑞葉が話を振る。
「もうこの話題はやめよう……やめて……」
美雪はお腹を抱え込むと、頬を染めて俯いた。
「春休み中、アタシたちと遊ばなかったからかな~?」
「かもかも」
海彩が心配そうに指を合わせると、瑞葉が首を縦に振る。
「そうだよっ。瑞葉のせいだよっ」
「あれ? あたしだけ!?」
美雪の回答に、瑞葉は大袈裟に驚いてみせた。
「……瑞葉といると無駄に疲れるからな」
溜め息を吐きながら説明する。
「“恋で胸がドキドキして疲れる”ってこと?」
「ポジティブだなっ!? そういうとこが疲れるんだよっ」
顔を上げると美雪は盛大にツッコんだ。
「ポジティブなとこが大好きってこと!?」
「会話が噛み合わないとこが疲れるってことだよっ!」