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348 I
「ふう~。おなかいっぱい~」
海彩が箸を置いた。
「おなかいっぱい、略して?」
誘導させる瑞葉。
「おっ――」
「やめなさい」
速やかに美雪は海彩の口を塞いだ。
「ふぁい~」
海彩の声が美雪の手の中で篭もる。
「セーフ……、危なかったね雪ちゃん」
「原因はお前だよっ」
汗を拭う仕草をする瑞葉に美雪がツッコんだ。
「あたしが生まれたからか……」
「そこまで重くはないから」
「あたしの産まれたときの体重、三八六〇グラムだったらしいよ!」
瑞葉は目を輝かせる。
「それはちょっと重いけどっ。何の話だよっ!」