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346 作戦
「アタシもアタシも~」
海彩が箸で掬ったごはんを美雪に食べさせようとする。
「いいから」
美雪は顔を少し引いて断った。
「食べ物、粗末にしちゃダメだよ~」
「自分で食べなよ……」
「海彩ちゃんだといつ落としちゃうかわかんないよ?」
瑞葉がそっと助言する。
「……ああ、もうっ」
美雪は諦めたように思い切って海彩の箸を咥え込んだ。
「やった~」
「おいしい? 海彩ちゃんに食べさせてもらったお弁当はおいしい?」
「おいし~? アタシが食べさせてあげたお弁当はおいしい~?」
ワクワクしながら二人が尋ねる。
「おいしいよっ」
ぶっきらぼうにそう答えると、美雪は自分の弁当を飲み物のような勢いで食べ始めた。
「照れ隠しかな?」