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341 温度差
「静岡さん、椅子ありがとね!」
瑞葉が、隣の子から受け取った椅子を移動させる。
「ん……」
その子は顔を伏せると、隠れるようにどこかへ行ってしまった。
「雪ちゃんのお弁当はいらないんだってさ。食べたくないってさ」
「そういう意味じゃないよっ、遠慮しただけだよきっと」
美雪は隠れていった子の気持ちを代弁した。
「あの子も混ぜる~?」
提案する海彩。
「えー、いいよー。どうせどっかで食べてるよー」
瑞葉は手を振った。
「冷たっ!」
「あたしが温かいのは雪ちゃんと海彩ちゃんにだけだからね!」
「ありがたいけど、人としてどうかと思うぞ……」
「瑞葉、雪ちゃんとアタシにも冷たいときあるよね~……?」
「あ、えと……、それはそれ!」
「どれだよ」