329/448
329 好き勝手
「アタシも雪ちゃんに手、握ってほしかったな~」
海彩が自分の手の平を見つめた。
「また今度ね」
瑞葉が美雪よりも先に答える。
「勝手に約束すんなっ」
「えー? お礼なんていーよー」
遠慮っぽく両手を振ってみせる瑞葉。
「言わねーよっ」
美雪がその手をはたいた。
「えへへ」
叩かれた手を瑞葉は大事そうにさすった。
「Mなの……?」
「違うよ! 叩くのも好きだよ!?」
美雪に冷たい目を向けられていた瑞葉は、更に冷酷な眼差しを向けられる。
「アタシも雪ちゃんに手、叩いてほしかったな~……」
海彩が瑞葉のように手をさすった。
「そこは羨ましがるとこじゃないから!」