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326 公共の場
「えへへ~」
「へへへ」
海彩が瑞葉の手を両手で握った。
「やめなさいな。こんなところでっ」
美雪は教室の中を見回した。特に注目されてないようで、ほっとする。
「雪ちゃん、挙動不審だよ?」
「あやしいよ~?」
「でも、そんな雪ちゃんでもあたし達は友達だからね!」
瑞葉と海彩が口々に言う。
「いいよもう、わたしは別で……」
美雪は一歩下がった。
「アタシたちと友達じゃ、ヤなの~……?」
海彩が瑞葉と片手を繋いだまま、もう片方の手を美雪に伸ばす。
「恋人がいいの? ん?」
上目使いになりながら、瑞葉も片手を美雪へと伸ばした。
「それは勘弁」
「ひどい」