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325 いっしょ
「じゃあ今日の帰りにクラス委員決めるから、皆考えとくように」
最後にそう言って、三田先生は教室を出ていく。廊下に出る直前、三田先生の口元が僅かに緩んでいた。欠席者がいないことに安堵しているようだった。
「にへへ」
瑞葉の顔もいやらしく弛む。
「変なこと考えてる顔だ~」
海彩が瑞葉の席までやってきて、その頬に指を刺した。
「立候補するのか?」
美雪もやってきて、瑞葉の顔から海彩の指を抜いた。
「するわけないじゃん!」
「なんで?」
立ち上がり大きな声で否定する瑞葉に美雪は尋ねる。
「理由を訊くの!?」
「ききたいな~」
海彩は両手を合わせた。
「そんなの雪ちゃんと海彩ちゃんに会う時間が減っちゃうからだよ!」
その言葉を聞いた海彩は顔を綻ばせ、美雪は頬を染めて目線を逸らした。