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322 やめられないとまらない
「おかあさん。ごめん」
瑞葉は天を仰ぐ。
「それだともう亡くなってるみたいだから、やめなさい」
美雪が静かに言った
「天使さん、あたしのお母さんにごめんなさいを届けて!」
今度は窓の外の雲を見て、両手を固く握る。
「それも同じ!」
「じゃあどうすればいいの!?」
「家に帰ってから謝ればいいだろ」
「それじゃ間に合わないよ!」
「既にそれが冒涜っ!」
美雪の眉間に皺が寄る。
「どうしたの雪ちゃん、うちのお母さんみたいな顔になってるよ」
「そんな、親をネタにばっか使ってたら罰が当たるぞ」
「は、しまった……。今日の朝、お弁当二つも作ってもらってたの忘れてた……」
母の慈愛を思い出した瑞葉は椅子の上で萎縮した。
「他にもっと感謝することがあるだろっ」