319/448
319 有効活用
「えへへ~、瑞葉のお弁当おいし~」
どれほど空腹だったのかが手に取るようにわかるほど軽快にパクパクと、箸は何度も弁当箱との往復を繰り返し、海彩の口の中へと食べ物を運んだ。
「ほんと、旨そうに食うな」
海彩の食べる姿に、美雪は見惚れる。
「えへへ~、おいしいもん~」
「そりゃそうだよ! お母さんが魂削って作ってるからね!」
瑞葉が自慢げに言った。
「娘の弁当一つに命掛けすぎだろ……」
溜め息を吐くように、美雪が呟く。
「余命三ヶ月」
「代わって差し上げろっ!」
流石に声を荒らげずにはいられなかった。
「ぶふっ」
海彩が、食べていたごはんを吹き出した。
「こらっ、雪ちゃん! 食事中の人を笑かしちゃダメでしょ!」
「え、今の笑うとこ……?」