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318 テロ
「じゃ~。こっち~」
海彩は左側の弁当箱を手に取った。
「そっちかあ、あたしのかあ」
瑞葉の顔が嬉しそうに綻びる。
「流石にお父さんのはな、食べにくいかもな」
美雪が海彩の選択に理解を示した。
「えっへへ~。これで、瑞葉とお弁当おそろいだよ~」
「ううん。あたしはお父さんのを食べるからお揃いじゃないよ?」
喜ぶ海彩に、瑞葉は冷たく言い放った。
「中身は一緒なんだからお揃いでいいだろっ」
「甘やかしちゃダメだよ!?」
「関係ねーよっ!!」
美雪が強めに跳ね返す。
「いただきま~す」
二人を気にせず、海彩は弁当箱の蓋を開けた。
「あたし達の会話、関係なかった!?」
朝の教室が、弁当の香りに包まれる。