314/448
314 待たず望まず期待せず
「雪ちゃんの裏切りモノ……」
瑞葉はそっぽを向いて唇をとがらせる。
「なにが」
突然のことで訳が分からない美雪がぶっきら棒に聞き返した。
「ツンしかなかった」
「なにがっ!?」
要領を得ない瑞葉の言葉に、美雪の声が大きくなる。
「あそこでデレてたらすごくよかったのにね~」
海彩がニコニコしながら両手を合わせた。
「ねー。“べ、べつにアンタのために用意したんじゃないんだからねっ”てね」
瑞葉も頷く。
「ね~……」
「はあー……。もう、雪ちゃんにはがっかりだよ」
二人とも溜め息を吐いた。
「……わたしが何を裏切ったんだよ?」
「あたしたちの期待だよ!」
「勝手すぎるわっ!」