313/448
313 食
「雪ちゃんさ、今日は海彩ちゃん餌付けしないの?」
「餌付けって……。今日は何もないよ」
なんでもないように瑞葉が尋ねるけれど、美雪は不意を突かれて一瞬言葉を詰まらせた。
「またまたー! その鞄の膨らみ、あたしの目はごまかせないよ!?」
「あっ、こらっ!」
「ジャカジャカジャカジャカ」
瑞葉は、美雪の重そうな鞄を奪い取ると、焦れったくゆっくりそのファスナーを開けていく。
「今日は、どんなのくれるの~?」
海彩が目を輝かせて鞄の中を覗き込んだ。
「教科書だけど……」
「うそ……」
申し訳なさそうに美雪が中身を説明する前で、瑞葉はそれを取り出し、確認し、崩れ落ちた。
「なんでお前が落ち込むんだよっ!?」
「きょうかショック……」
「あははっ」
海彩が吹き出した。
「くだらねえっ」