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308 両攻め
「クラス分けがないとつまんないねー」
「ね~」
下駄箱から教室へと続く廊下をつまらなさそうに歩く瑞葉と、その隣を少し遅れてゆっくりと付いてくる海彩。
「何しに学校来てるんだよ」
二人の数歩先を進む美雪が呆れた顔で尋ねた。
「クラス替えだよ! 唯一の楽しみだよ!」
瑞葉は元気に答える。
「楽しみが少なすぎるわっ」
「一年に一回しかないね~」
前と後ろからツッコミを入れられた。
「くっ……、挟み撃ちか!?」
瑞葉が眉根を寄せる。
「何が?」
「ええーい、席替えじゃー! これで雪ちゃんを挟み撃ちじゃ!!」
瑞葉は自分と美雪の立ち位置を入れ替えた。
「だから、何が!?」