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304 時差ボケ
「遅刻する前に学校行こうか」
そう言って瑞葉が歩き出した。
「お前が言うなっ」
呆れながらも美雪は瑞葉に付いていく。
「遅刻する前に学校に行こう~」
その後ろを追いかけるように遅れてスタートした海彩は、瑞葉の最初の言葉を繰り返した。
「いや、わざわざ海彩が言い直す必要もないけど……」
美雪が控えめに告げる。
「違うよ雪ちゃん。海彩ちゃんのは時差だよ!」
「そんな時差ねーよっ」
「本当はあたしよりも先に言うつもりだったんじゃないかな?」
瑞葉は独自の理論を語りだす。
「どういうこと?」
「ほら~。アタシって遅れてるとこあるから~」
海彩は瑞葉の理論を説明しようとした。
「ねー、海彩ちゃん遅れてるとこあるからねー」
「そんな遅れ方ねーよっ!」