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303 中に入れる
「立ち話もなんだしとりあえず中に入ろうか」
そう言って瑞葉は美雪の家の扉に手を掛けた。
「それはお前の台詞じゃないだろっ」
開けられないように、美雪が扉を押さえる。
「立ち話もなんですので、家の中に入りませんか?」
「言い方の問題じゃなくてっ!」
丁寧に頭を下げた瑞葉に、美雪は困惑した。
「アタシはベッドでいいよ~……ふああ~……」
重い瞼で閉じられた目をこすりながら海彩があくびをする。
「さらりと条件を良くすなっ」
ツッコミと眠気覚ましの意をも込めて、美雪は海彩の頭を手刀で軽く叩いた。
「あたしは雪ちゃんの膝の上がいいなー!」
「アタシも、雪ちゃんのベッドの上で雪ちゃんに膝枕されたい~!」
各々希望を言い合う度にそれが過激になっていく二人。
「それ……最高……!」
「お前らっ!!」
海彩の提案に瑞葉が生唾を飲み込むと、頭を美雪にすぱーんと叩かれた。