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301 朝一
「行ってきまーす」
美雪が玄関の内側へ声をかける。いってらっしゃい、と姉の声が小さく返ってきた。
「おはよー雪ちゃん!」
「おはよ~」
その背後から唐突に声をかける瑞葉と海彩。
「っ……、おまえら、いつの間に……。ていうか、いつからっ……」
不意の出来事に、美雪は体を強張らせた。
「ううん。あたしも今きたとこ」
ニコッ、と瑞葉が微笑む。
「それ使い時が違うし、こんなとこで気を使わなくていいからっ」
「……じゃあこれからはベッドの上だけにしておくね?」
「そんな機会ないからっ!」
ばっさりと美雪は切り捨てた。
「瑞葉~。アタシにもやさしくしてよ~……。まだねむいよ~……」
あくびをしながら海彩が泣きつく。
「あまったれんじゃないよ!!」
「厳しすぎるだろっ」