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みみみみ  作者: 椥桁
プロローグ
3/448

3 姫澤海彩(ヒメサワミドリ)

 なんだかとてもいい気分だった。

 空の上、雲の上を漂っているような。ゆっくりと落ちているような。

 突然、頭上に巨大なロボットが現れる。

 そのロボットはまるで警告をするかのように「ピ。ピ。ピ。ピ」と電子音を一定のリズムで鳴らしている。

 だけどアタシはそんなもの気にしないで空中を浮遊し続ける。だって、こんなに気持ちいいんだから、ロボットだって空に浮かぶだろう。

 それと太陽が近いからかな、体がほんのりと暖かくていい気持ちだ。

 ロボットも同じ気持ちなんだろう。「ピピ。ピピ。ピピ。ピピ」とさっきよりも音を増やして鳴いている。

 でも、高いところは風が強いからかな、ちょっとだけ寒さを感じるときもある。太陽でほてった体が風で冷やされる。それはそれで気持ちよかった。コタツに入りながらアイスを食べるような、あ。アイス食べたい。アイス食べたくなってきた。

「ピピピ。ピピピ。ピピピ」

 ほらロボットも、コタツ・アイス・タベルって言ってる。

 どうせ食べるならロボットとよりも雪ちゃんと瑞葉と一緒がいいな。

 雪ちゃんと瑞葉を探そう。空から探せばすぐに見つかるし。

「ピピピピピピピピピピピ」

 このロボットはうるさいから置いていこう。

「ピピピピピピピピピピピ」

 ああもう、本当にうるさいなあ。

 アタシはロボットをなんとかしようと思って手を伸ばす。すると、巨大なロボットは小さな時計に変形した。アタシの枕元にいつも置いてある目覚まし時計だ。

「ピピピピピピピピピッ」

 目覚まし時計のスイッチを叩いて止める。アタシの体は暖かい布団に包まれていた。

 ……そうだ今日は入学式だ。起きて支度しなきゃ。

 ……でも今は雪ちゃんと瑞葉を探さないと。

 あれ。なんで二人を探してたんだっけ。

 まあいいや。ゆっくり思い出そう。この目覚まし時計は止めてもまた十分後に鳴ってくれる機能があるから安心安心。

 雪ちゃんと瑞葉はどこにいるかなー。今日は学校だから待ち合わせ場所の神社にいるかも。そうだ。そうに違いない。アタシってば天才!

 アタシは急いでシャワーを浴びる。シャワーから「ピピピ」と音が聞こえてきたけどまだ十分も経ってないはずだから適当に叩いて目覚まし時計を止める。

 鏡で寝癖が付いてないのを確認して朝ごはんを食べる。食パンを焼いたトースターが「ピピピ」と鳴ったけどまだ十分も経ってないはずだから適当に叩いて目覚まし時計を止める。

 制服に着替えて家を出る。玄関のチャイムが「ピピピ」とうるさいからぶん投げる。

 足取りも軽く、あっという間に神社の前に着く。

 気持ちいいくらい全部が順調だった。

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