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「ほら。あれを見て!」
瑞葉が校舎の時計を指差す。その時計に示される時刻は美雪の想像していた通り、本来この学校に到着する予定だった時刻よりもだいぶ先のものだった。
「あの時計早いね~」
海彩が呑気に言う。
「いやいやいやいや。学校の時計があんなに遅れてるわけないから。わたしら完全に大遅刻だよ」
しかし、大遅刻だと言いつつも美雪は海彩と同じように焦ってはいなかった。
なぜなら三人と同じ制服を着た人達が他にも、校庭、校門、校門前の坂道と、至る所にいたからだった。
「ふー。つかれたよ」
瑞葉が額の汗を拭う仕草をする。もちろん汗など掻いていないし何もやっていないのだが、一仕事終えてきたと言わんばかりの顔を見せつけていた。
「何やったんだよ」
「あたし飛べるじゃん、飛べるじゃん!」
「時かけ~?」
「そう! 正解!」