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みみみみ  作者: 椥桁
入学式の日
24/448

24 Snow juice

「ふざけてないよ! だって、雪ちゃんを見てると心がトクントクンするんだもん!」

 瑞葉(みずは)が胸を両手で押さえて声高々に言った。

「ちょっと鼓動が弱いな?」

 美雪(みゆき)がつっこむ。隣で海彩(みどり)が小さく吹き出した。

「……トクトクトクトクトク?」

 瑞葉が今度は左手をコップに見立てて右手を胸の前で傾けた。

「注ぐな注ぐな。やっぱりふざけてるだろ」

「ひどい、ふざけてなんかないのに! ほら!」

 何かが注がれているコップに見立てた左手を、瑞葉は美雪に差し出した。

「いらない。ちょっときもちわるいし」

「うわあああん。雪ちゃんにあたしの初恋をもてあそばれたよお……。海彩ちゃああん……」

 泣き真似をしながら海彩に抱きつく瑞葉。

「ん~、よしよし」

 海彩がその背中を優しく撫でる。

「いや、遊ばれてるのはわたしのほうだろ……」

 瑞葉が海彩の胸に顔を埋めたまま、首をぶんぶんと横に振った。

「でも~、瑞葉いま、雪ちゃん大好きジュースどっかやっちゃったよね~?」

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