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21 まっかっか
「あーもう! やめろ、おまえら」
美雪が、瑞葉と海彩にそれぞれ握られている自分の両手に力を込めて逆に握り返した。
「あははっ、いった~いっ。雪ちゃんごめんね~」
海彩が痛みに耐えられず手を離す。対して瑞葉はそれでも美雪の手を離さなかった。
「ああ、あたし今、雪ちゃんに求められている!?」
「求めてないから。むしろその逆だから」
「ええー。残念」
瑞葉は美雪から手を離す。離した後もまだ名残惜しそうに、一人で手をグーにしたりパーにしたりと繰り返していた。
「はー、やっと開放された……」
ほっとするのも束の間。
「雪ちゃん手汗すごいよ?」
瑞葉が自分の手の平を見ながらつぶやいた。
「元からだよ~」
海彩も瑞葉の真似をして手の平をグッパッグッパッと繰り返す。
それを聞いた美雪がまさかと自分の手の平を見つめる。
「違うって! おまえらが変に付き纏うから。それにこの学校前の坂、結構急だったし」