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203 ラストオーダー
「それではラストオーダーをお伺い致します」
店員が告げる。
「えー、もうそんな時間かー……」
残念そうな顔をしながら、袖を捲って時間を確認する瑞葉。そこに腕時計はなかった。
「おいっ」
「ぷふっ」
美雪の一声に、海彩は吹き出す。
「なになに? どったの??」
期待に満ちた顔をして、瑞葉が振り返った。
「おまえが“ラストオーダーにして下さい”って頼んだんだろ……」
美雪が面倒くさそうに答える。
「あー、そっちかー」
「どっちだよっ」
「瑞葉、腕時計してない~」
「そっち!?」
「よく気がついたね! 実はこれ、バカには見えない時計なのさ! あたしも見えない」
「意味なっ」