202/448
202 犬系
「あ、お姉さん! ラストオーダーいいですか!?」
瑞葉が元気よく右手を上げる。
「おまえが訊くやつじゃないから」
美雪は瑞葉の右手首を握り締めて下ろさせた。
「じゃあ、お姉ちゃんラストオーダー訊いて?」
「フレンドリー過ぎるだろっ」
「いいですよー、お姉ちゃんでも」
店員がにこっと答える。
「アネキ!」
「うーん……、それはちょっと」
こぶしを握り目を輝かせる瑞葉に対して、店員のお姉さんは苦笑いを浮かべた。
「あんちゃん!」
「それも……」
「それは性別が違うだろっ」
「ワンちゃん~!」
海彩が、伸ばした左手に、その人差指の上から軽く握った右手を被せて、犬の影絵を作る。
「もう生き物として違うっ」