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193 デザートにはまだ早い
「なんだかうどん一杯だけでずっとお店にいるのも悪いね」
瑞葉はメニュー表を広げた。
「他にもっと悪いとこあったろ……」
「……手癖とか?」
困った顔をする美雪に、瑞葉がお金を抜き取る動作を見せる。
「悪すぎるわっ。いや、そんなことしてないだろっ!」
「してなかった」
「してないこと言うなよ……」
「じゃあ今から!」
「するなっ」
「ね~、マカロンどこだろ~?」
メニュー表をめくる海彩。
「聞いてない!?」
瑞葉は広げた両手を顔の高さまで上げ、目と口をあんぐりと開ける。
「オーバーっ、リアクションがっ」
「ん~? ぶふっ……ふふふ」
海彩が顔を上げた途端、瑞葉の姿がその目に飛び込み笑いだした。