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18 乗っかる
「ほら、これ。足しにならないかもだけど」
美雪は鞄から三百ミリリットルサイズのペットボトルを取り出し、蓋を開けて海彩に渡す。
「お、こんがり肉!? 上手に焼けたね、雪ちゃん!」
「違います。どこからどう見てもスポーツドリンクです。ひとりで森と丘にでも行ってて下さい」
「はあ~……元気ドリンコおいしいよー、元気出たよー、雪ちゃん」
「いやそれはアクエリ、ってか三百で足りた? 五百の方が良かった?」
三百ミリリットルを一気に飲み干した海彩を見て、美雪は自分の鞄の中を探る。
「たりたよー。ありがとね、雪ちゃん」
「はい! あたしもこんがり肉食べたいです!」
「いや、誰も食べてないから」
「じゃあ、あったら食べる?」
「うーん……時と場合とテンションと空腹具合による」
「はーい! 食べたいでーす!」
「ようしっ、それじゃあ森と丘に向けてダッシュだー!」
突然駈け出した瑞葉。それに釣られて海彩も走りだそうとするけれど、足がもつれてバランスを崩し転びそうになってしまった。