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176 営業停止
「ごゆっくりどうぞ~」
店員が一礼し、店の奥へと去っていく。
直後、瑞葉は自分の肩を抱き、震えだす。
「怖かったよお……。おしっこ漏れるくらい怖かったよお……」
「びびりすぎだろっ」
「おトイレ~、行っとく~?」
そう言って海彩はさっき店員が消えていった方を指差した。
「それは完全に狙ってるでしょ! 狙ってるよね!? 海彩ちゃん!」
「え~、間違えただけだよ~」
「そっか、間違いは誰にでもあるもんね。しょうがないね」
「仕様がなくはないだろっ」
「おトイレは~、あっち~!」
海彩が今度は厨房を指差す。
「わかった! 行ってくる!」
「分かるなっ、行くなっ!」
「止めないで! 漏れちゃう!」
「止めるわっ! 絶っ対に漏らしちゃ駄目な場所だから!」