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172 ほうれんそう
「学校卒業したら~、雪ちゃんも瑞葉も、うちで養うよ~?」
「いいよ、自分で働いて稼ぐよ」
海彩の申し出を、美雪は断る。
「わるいねえ、じゃあよろしく」
瑞葉は受け入れる。
「おまえも働け!」
「雪ちゃんか海彩ちゃんがお金くれたら働けそうな気がする」
「駄目な彼氏かっ」
「あ、そだ海彩ちゃん。あたし欲しい服と帽子があるんだけど」
「またかよ」
「三百万ずつくらいの」
「高いっ」
「……ん~。ちょっとお母さんに聞いてみるね?」
携帯電話を取り出す海彩。
「訊かんでいい、断れ!」
「お母さんに聞くの大事だよ~?」
「いや、お母さんびっくりしちゃうから。うちの娘は虐めにあってるのかと思っちゃうから」