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169 シリア
「海彩ちゃんは演技派だからなー」
瑞葉は一人でうんうん、と頷く。
「そうかあ?」
疑いの眼差しを海彩に向ける美雪。
「ふっふっふ、その時点でもう雪ちゃんは海彩ちゃんに騙されているのだよ!」
「ふふふ~。だましてる~」
瑞葉の自信満々の言葉に、海彩はニコニコの笑顔を浮かべる。
「その顔でもうばればれだからなあ……」
溜め息混じりの美雪。
「ごめん、瑞葉~。バレちゃった~」
「まあ、雪ちゃんだからね、仕方ないね」
「誰でも気付くわっ」
「でも嘘が上手な人って、騙せなくてもいいときはあえて癖を隠さなくて、本当に騙したいときだけ癖を隠すよね」
「何それ?」
「なんか今、海彩ちゃん見てたら思いついた」
「ほんと、てきとーだな。おまえ」