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168 空演技
「海彩大丈夫? 倒れそうじゃなかったのか?」
「ううん~ 雪ちゃんに心配して欲しかっただけ~」
海彩は両手の指を合わせながら答える。
「海彩ちゃん、あたしは!?」
「瑞葉も~」
「えへへー!」
「うふふふ~」
「ま、あたしは海彩ちゃんの演技わかってたけどね」
「心配してなかったのかよ」
「えええ~……」
「雪ちゃんもでしょ?」
「まあ、あんまりは」
「えええ~……」
「二兎を追う者は一兎をも得ずだよ、海彩ちゃん」
「いや、それは違うだろ」
「雪ちゃんだけにしぼればよかった~……」
「どうやって!?」