15 ぷちでじゃびゅ
「はあ……はあ……着いたあ……!」
寝癖が付いて荒れ放題だった海彩の髪の毛は、全力で神社まで走ってきたことによって更に爆発するかと思いきや、寝癖+全力疾走で中和のような反応が起きたのか、逆に整っていた。それこそ、瑞葉と美雪が想像していたキャバクラの女の子のような髪型に。当然、本人はまったく気付いていない。
「瑞葉ちゃーん。遅れてごめんねー……」
息を切らしたまま瑞葉に歩み寄っていく海彩の足取りはよろよろと危なっかしくふらついていた。寝起きに全力疾走の合わせ技で脳に酸素が行き届いていないのだ。海彩の視界は白く曇ったように霞がかかり、瑞葉をしっかりと認識できていなかった。
段々と呼吸も整い落ち着いてきた海彩の目に映ったものは、瑞葉とは似ても似つかない明るく染まった髪に超ミニスカートという、むしろ海彩にとって不良を思い起こさせるような格好の女の子だった。
自分が瑞葉だと思って近付いた子が全然違う人だったことに気付いた海彩は慌ててその子から距離を取り謝罪する。
「ご、ごめんなさいっ。あのっ、でも、アタシお金とか持ってないので!」
そう言ってその場で飛び跳ねる海彩。
「ほらっ、お金の音とか鳴らないですしっ」