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149 思い出(偽)
「楽しい時間が長く感じるんなら、瑞葉と海彩が過ごしてた六年間はなんだったんだ?」
「なんだったんだろう……」
瑞葉が真顔になる。
「いや、そんな反応せんでも。なんかあるだろ?」
「なにがあったっけ~?」
海彩は頭を傾ける。
「……遠足のバスでげろ吐いたりとか?」
「よくあるやつっ。もっと楽しい思い出はっ」
「瑞葉がうちのベッドで飛び跳ねてたら、吐いちゃったりとか~?」
「あー。あったねー!」
「それ楽しい思い出か?」
「跳ねてる最中はめちゃ楽しかった」
「大掃除で、理科準備室に入ったら吐いちゃったりとか~?」
「あーー。あったあった!」
「おまえらの思い出、嘔吐ばっかりかっ!?」
「そんなことないよ!」
「家庭科の調理実習で作ったサンドイッチを食べすぎて吐いちゃったりとか~」