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146 おばあちゃん
「むしろ、海彩ちゃんとはたったの九年しか一緒にいないからね」
「おばあちゃんかっ」
美雪がツッコミを入れる。
「戦争中は食べ物が少なくてねえ……」
「いや、おばあちゃんじゃないから」
「なにそれ!? まぎらわしい!」
「わかるだろっ、自分がおばあちゃんじゃないことくらいっ」
「ボケてたらわかんないよ?」
「その時点でおばあちゃんっ」
「わーん! あたし、おばあちゃんなんだー!」
瑞葉が涙を隠すように両手で顔を覆う。もちろん泣いてはいない。
「違うだろ、瑞葉はまだボケてないだろ」
「わーん! あたしのボケが雪ちゃんにちゃんと伝わってなかったー!」
「そのボケじゃないし、そのボケにはちゃんとツッコんでるし」
「ツッコミが足りない! もっと、ツッコミで振った手が相手の胸に当たっちゃって、キャッ、ゴメンッ。イイヨイイヨ、カッコドキドキ。みたいなやり取りがしたい!」
「しません」