141/448
141 おろろろ
「で、あたしは口腔外科に行けばいいの?」
瑞葉が自分の口元をつんつんとつつく。
「行かなくていいよ……。口からうどんなんて生えないから」
「おくちからうどんははえない」
美雪の返答を瑞葉は繰り返す。
「そう、生えない。だから瑞葉は口腔外科じゃなくて頭の病院の方に行こうな」
「頭からうどんが生えるの?」
「ぷふ~~っ」
海彩が吹き出す。髪の毛の代わりにうどんを生やす瑞葉の頭を想像したのだろう。
「頭からもうどんは生えないけど、まあそういうところでしょうねえ」
「ふむ。頭からうどんが生えないところか」
「ふむ、じゃねえっ、全然わかってねえっ」
「雪ちゃんはいいよね。頭から綺麗なうどんがたくさん生えてて」
「生えてないしっ、髪の毛だし。仮に生えてたとしても微塵も良くないっ」
「ねえ聞いて! おろろろ、って言葉もカタカナにするとえろくない?」
「オロロロ~?」
「わたしの話を聞けよっ!」