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14 ボツ案(してない)
「はあー、あたしも雪ちゃんに付いて行けばよかったなー」
所在なさげに神社の鳥居に凭れ掛かる瑞葉は独りごちた。
「……えっとー、コンビニまで三分でしょ、買い物で二分でー、また戻ってくるのに三分、の合計八分。雪ちゃんは合計八分、と」
指折り数える瑞葉の右手で、親指と人差し指と中指が畳まれた。
「……着替えたりで二分、ここまで来るのに五分だからー、海彩ちゃんは合計七分、と」
今度は左手の親指と人差し指が畳まれた。二つの手を見比べる瑞葉。
「じゃららららららららんっ……。海彩ちゃんの勝ちー! はやーい! わーい!」
自らの左手を高らかに声を上げるも束の間。
「はあ、むなしい……」
左手を下ろした。
「はいっ。ショートコントやります!」
今度は右手を勢いよくぴしっと上げる。
「『えー、では、ショートコント』
『って、なんでやねん!』
『いやいやいやいや、まだ何も言ってませんから! いくらなんでも短すぎでしょ!』
…………はあ、はずかしい……」