137/448
137 VVin-VVin
「でも、あたしが雪ちゃんにちゅーすればウィンウィンじゃん?」
瑞葉が両手でVサインを作る。
「どこがだっ。ウィンなのは瑞葉だけだろ」
美雪は瑞葉の片方の手を折りたたむ。
「あたしと海彩ちゃんだよ! ねっ」
「ん~と……。ウィ~ン。ウィ~ン。ウィ~ン?」
瑞葉がVサインを飛ばすと、海彩は首を傾げた後、動作音のような声を発した。
その海彩の声に合わせて瑞葉は口を開き、舌を突き出し、徐々に美雪に迫っていく。
「おいっ、ウィーン、ウィーン!」
慌てて美雪も海彩を真似る。美雪の声に合わせて瑞葉は舌を引っ込め、口を閉じた。
「……仕舞っちゃったよ!」
「いや、それはお前の意志だろっ」
「ぷっ……ふふっ……」
笑いを堪える海彩。
「閉まっちゃったよ!」
「あははははっ」
追い打ちを掛ける瑞葉に堪え切れず、海彩は吹き出した。