132/448
132 かたたたき
「今度みんなで肩たたき券持って雪ちゃんち行こっか」
いいことを思いついた、とでも言いたげに瑞葉は手を叩く。
「ひとんちの親に何する気だっ」
「肩をたたくんだよ?」
「目的は?」
疑う美雪。
「肩をたたく」
「それは手段です」
「えいやっ?」
瑞葉が右手をぴんと伸ばす。
「それは手刀です。ってか雑っ」
「大丈夫。これで叩くから」
「ひとんちの親の肩を手刀で叩くなよ……」
「トンって」
「もっとリズムよく叩け」
「首筋を」
「それ危ないやつ! もうおまえは肩叩き禁止!」