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13 姫澤海彩(ヒメサワミドリ) 2
気持ちいいくらい全部が順調に進んで、一番乗りで待ち合わせの神社の前に着いた。
少し遠くから雪ちゃんと瑞葉が駆け寄って来るのが見える。瑞葉は「海彩ちゃーん!」とアタシを呼んで手を振ってくれている。
「瑞葉ー!」
アタシも手を振り返す。
「海彩ちゃーん!」
瑞葉もまた手を振り返してくる。
「海彩ちゃーん!」
…………あれ?
雪ちゃんも瑞葉も走ってるはずなのに全然近付いてこない。雪ちゃんの声も聞こえない。
「海彩ちゃーん! 海彩ちゃーん!」
そうだ。この声のトーンはアタシのケータイの着信音に似てる…………ケータイ?
アタシは飛び起きて無我夢中で電話に出る。
「……あああああああああ!」
もう待ち合わせの時間だ!
着替えなきゃ! 家出なきゃ! 朝ごはん食べなきゃ! 寝癖取らなきゃ!
「ごめんね! すぐ行く! 本当にごめんね! すぐ行くから待ってて!