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116 チョロい
「雪ちゃんの好きなトコ、多すぎてなかなか出てこないよね~」
指を一本ずつ伸ばしていく海彩。
「ね。逆にね!」
それに頷く瑞葉。
海彩の指はすぐに十本とも伸びきってしまう。
「う~、手がいつつあっても足りない~」
「いくつな、手はふたつしかないから」
「雪ちゃんこまかい~~」
「いや、だいぶ違うと思うぞ……」
「しょうがない、あたしが手を貸してあげよう!」
「ありがと~瑞葉~」
「それでも五つに届いてないけどな」
「雪ちゃんのそーゆーとこ、好きだよっ」
「えっ、どこ?」
「アタシもアタシも~」
「待って、今のやりとりで好きになる要素あった?」
「あたしと喋ってくれるところ」