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115 言
「名言、名言かー……」
瑞葉は腕を組んで頭を捻る。
「そんなに真剣に考えなくていいから」
「自由に生きろ、か。それも名言だね」
「違います、そんなつもりで言ったんじゃないです」
「じゃあなんで言ったの?」
「え、そこ理由いる?」
「生きることに理由はいらない、か」
「名言じゃないから」
「雪ちゃんはどんどん名言を生み出すね!」
「瑞葉が都合よく解釈してるだけだろ」
「またまたあ、謙遜しちゃって」
「してません」
「ほら。そういう控えめなとこが好きだよ」
「じゃあわたしの好きなとこゼロだな?」
「ん、べつにゼロは好きじゃないよ?」
「そういう意味じゃなくてっ」