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114 迷
「空から降ってくる雪とわたしは、全くの別物だからな」
美雪が念のために説明する。
「えっ、そうなの!?」
驚く素振りを見せる瑞葉。
「当たり前のことだろ」
「まぎらわしい名前だね~」
海彩は机の上に指で雪の字をなぞる。
「まあ、冬場はちょっとな」
「どうしてそんな名前にしたの? 雪ちゃん」
「わたしに聞くなよ……」
「どうしてその名前のとこに生まれてきたの~? 雪ちゃん」
「えー……、気付いたらいつの間にか?」
「名言?」
「違います」
「いいね。気付いたらいつの間にかこの名前で生まれていた、名言だね」
「かっこいいね~」
「違うんだけど、せめて言うならもう少し名言らしく喋れっ、なんか恥ずかしいわ」