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みみみみ  作者: 椥桁
入学式の日
110/448

110 貧しい

(ゆき)ちゃんは自分の使用したものに付加価値が付くとでも思ってるの?」

「お、思ってないよ」

「うそだねっ。思ってなかったら使用済みの自分のマスクでオークションしたりしないよ」

「オークションはおまえらが勝手にやりだしたんだろ……」

「じゃあ雪ちゃんの使用済みマスクに価値はないんだね?」

「そうだよ」

「ふざけるなっ!」

「なんなんだよもう」

「女子高生なりたて雪ちゃんの使用済みマスクだよ? 価値がないわけないじゃん!」

「えー、なんか気持ち悪い」

「顔写真とセットでネットークションに出せばバカ売れ間違いなしだよ!」

「ごめん、本当に気持ち悪い」

「楽して稼ぐには犠牲が付きものだからね」

「稼がなくてもいいです」

「あれ? そうなの? あたしはてっきり雪ちゃん貧乏なのかと。だって一厘でも高くオークションで売ろうとしてたし」

「逆だよ、逆。おまえが厘単位でオークションしてたんだよ」

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