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108 ブレスレス
「雪ちゃんはあたしの口を抑えたいんだっけ? もう、こんなトコでしょうがないなあ」
瑞葉が目を瞑り唇を突き出した。
「そういう意味じゃないから」
瑞葉は表情を元に戻す。
「あれ? チューの比喩だと思ったのに」
「比喩じゃないです。そのままです」
「何で抑えるの?」
「理性」
「雪ちゃんの口か!」
「聞けよっ」
「人工呼吸~?」
「んー、海彩ちゃん惜しいっ!」
「惜しくねーよ! 大間違いだ!」
「キスか!?」
「更にハードル上げんな!」
「でもさ、一般的にはキスよりも人工呼吸のほうがやりやすいのかもしれないけど、普通に意識ある人に人工呼吸するのってキスよりもなんかすごくない?」