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「でもさあ、髪型だけでいったらあたしよりも海彩ちゃんの方が不良っぽくない?」
そう言って瑞葉は自分の頭を両手でぐしゃぐしゃと掻き毟った。海彩の髪型を再現しようとしたのだろうけれど、瑞葉の短い髪での再現は難しくすぐに元に戻ってしまった。
「それはないだろ。たしかに海彩の髪は……なんというか、ボリューム感があるけどあれは癖っ毛なだけでそういう体質だからしょうがないでしょ」
「なんか雪ちゃん海彩ちゃんのことかばってない? あたしに厳しくて海彩ちゃんに優しくない? 差別? 人種差別?」
「人種が違う自覚あるのかよ……。まあ瑞葉と違って海彩は髪の毛染めてないし、ワックスも付けてないし、癖っ毛を少しでも抑えようと努力はしてるから多少はね」
「酷いよ雪ちゃん! あたしワックスは付けてないよ! ハゲるからね!」
「人種が違うとこは否定しないんだ」
「あっ、地球人です! 地球人ですよ!」
「でも、染髪も一人でやると禿げやすくなるらしいよ」
「へあっ!?」
「…………髪だけに?」
「ううん、新マンの方」
「まったくわからん」