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僕は華に囚われる  作者: 松屋
2/3

匂菫の蕾はひらき

「翠ちゃん、一緒に昼食を取りに行かない?」


黒の髪の少女たちの髪型は様々だ

伸ばしている子もいれば可愛らしいピンで留めている子、ポニーテールの子にツインテールの子

ただ染められた髪や巻いた髪、派手なアクセサリーなどは見えず自分たちはCランクなのだということを自覚している。

これまで『桐村翠』は見た目と家柄だけならBランクだがその性格で下のグループと接していた、といっても『桐村翠』がこれまで何を考えていたかはすでにわからない


「…ごめんなさい。私、ある方たちとお約束してしまって、」


緊張が走る

顔がいいから調子乗ってるんじゃないの?これまで地味なあなたに優しくしてあげた私たちを裏切るの?


「あぁそうなの?翠ちゃんと一緒にお食事できないなんて悲しいな、ねえねえ誰と約束しているの珍しい」

「あのね、三年の「翠ちゃんはやくしようよ〜」


これまで上辺だけの上品さを保っていた教室に馬鹿にしたような笑い声と声が響く

当然皆はその声がした教室の入口へと目を向けた


「…翠ちゃん、男性とお約束ししてるなら早くしたほうがいいわよね じゃあ私たちも行くから」


入口にいるいわゆる体育会系だが家柄も低く素行も悪い男子生徒数人にランタナのような少女たちは散っていった。Eランクにいるような男たちと付き合ってる女とのつながりなんて自分に不利益しか与えないと瞬時に理解したのだ。


「ええ、 さようなら(・・・・・)皆さん」


ランチのあとには「桐村翠は低ランクの人間と付き合ってる」そうゴシップは何倍にも膨らませ学園を駆け巡ることだろう


                       ▼


「みなさん凄いんですね なんだか思い違いをしてたみたいです」

媚を売る声に男たちはすぐ食らいついてきた


「なになに俺たちのこと怖いとかおもってたり??」

「俺たち結構優しいんだよね〜」

「可愛い女の子だけにだけどな」

最後の言葉にまたどんちゃん騒ぎが繰り広げられる

怖く見られたいというのはただ単に彼らの願望

この学園ではこの男たちなど華の周りに咲く見た目を装った値段さえ付けられない雑草だ


「翠ちゃんはこの中では誰が好みなの?やっぱり俺だよな〜?」

話は誰が一番容姿が優れているかというのに移ったようだ

ここでその言葉を否定してやればこの雑草はどうなるだろう


「…私、先輩みたいな人頼りがいがあって好きですよ〜」


雑草は内心の歓喜を抑えながらふざけあう

自身でもこの学園じゃ低ランクの人間だと心の深くでは知っているのだ、しかし今Bランクの女が自身に食いついてきてる

これを逃せるか


チャイムがなる


「もういかなくっちゃ次は体育だから着替えなくちゃいけないんです」

「そんなのさぼっちまえよ俺たちと外いこうぜ、いい店しってんだ」


こんな怪しい誘いに乗る馬鹿はいないだろう

こいつらはどれだけ『桐村翠』がかるい女だと思ってるのか


「ふふ、だったら放課後に遊びましょう。待ってますわ」


匂菫は雑草へと微笑む





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