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トラブルメーカーから離れて得た平穏は、一時間で終わりを告げた。って早すぎるわ!!

 『闇のゲート』をくぐり、城下南街の民家の屋根に出る。

 闇魔法『闇のゲート』は存在する影もしくは闇を道として、別の場所に移動できる魔法。魔力が強ければ、闇や影のない場所に己の魔力で闇を造りだし移動する事も可能。便利だわこれ。

 ともかく、無事に王宮からの脱出に成功し、さっそく行動する事にした。と言っても王宮でパクッた鎧やら剣やらを売り払うだけなのだけども。

 どの道組合とやらで冒険者登録するけど、金はあるにこしたことはない。一気に全て売り払うと面倒になりそうなので2~3軒に分けて売り払う事にし、売り終われば冒険者組合を探す。

 確か、王宮のメイドさん達の情報によれば、冒険者組合の建物の看板は盾の下に交差した二本の剣のシンボルマークが書かれているらしい。分かりやすいマークだ。

 この世界の店は、自分の扱っている物品の絵を看板に書くらしい。武器屋なら剣、防具屋なら鎧、道具屋なら袋、薬屋なら三角フラスコといったド○クエとかF○とかRPGまんまだった、分かりやすいって素晴らしい。おかげですぐに見つかった。

 

 基礎や骨組は木製で壁は石造り。ファンタジーにありがちな造りの建物だ。故に扉は西部劇風。通ったらキイキイ鳴るやつ。

 内部は組合兼酒場になっているらしく、入った奥に受付があり、左右にテーブルが設置されている。そのテーブルを囲むように色々な冒険者がいた。強面からチャラ男、優男風まで色々。

 入ると喧騒がピタリとやみ、全ての冒険者がこちら視線を向ける。しかし視線を気にせずツカツカと組合の受付へと向かった。すぐに喧騒に戻ったが、やはり気になるのか先程より音が小さめだ。


「すいません」

「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」

「あ、冒険者登録したいんですけど」

 

 その言葉に、ニコリと対応した受付の男性は、え?という表情になり、小さめだった喧騒は完全に止んだ。


「冒険者登録……ですか?」


 男性は確かめるように言う。

 女性の冒険者志願って珍しいのかな。


「はい。登録をお願いします。あ、もしかして冒険者登録できるのって男性だけですか?」

「あ、いえ、そういう訳ではありませんが……」

「なら問題ありませんね。登録お願いします」

「………かしこまりました。では当組合のシステムについてご説明させて頂いたのち、こちらの登録申請書にご記入して頂きます」


 男性はそう言って、紙とペンをおいてシステムの説明を始めた。

 要約するとこういうこと。冒険者が依頼を遂行した際の負傷やそれに伴う後遺症、致命傷に至るまで、組合は責任をとらない。

犯罪を犯した場合、警告処分、二度目は登録取り消し処分。重犯罪である場合は特定の事情を除き登録の取り消し処分とする。

取り消し処分を受けた元冒険者は、冒険者組合の最高意思決定会の許可が出るまで再登録は出来ない。

依頼失敗が度重なった場合、一定期間依頼を受ける事が出来なくなる。

冒険者はランクFから始まり、受注できるのは二つ上のランクの依頼まで。たとえばFランク冒険者はFランク依頼10個、一つ上のランクなら5つ、二つ上のランクなら三つ達成すればランクアップとなる。

依頼達成の証として、採取依頼は採取物を、討伐依頼は討伐目標の部位の一部を納品する事。護衛依頼に関しては、対象を目的地まで護衛し、その場で支給される。


「以上が組合の大まかなシステムとなります。何かご質問などございますか?」

「あ、じゃあ一つだけ。ここで依頼を受けたとして別の組合受付で納品物を納品した場合、依頼達成になりますか?」

「他の組合掲示板に同じ依頼主で同じ内容の依頼があった場合のみ、納品は可能です。ここにある依頼はここでのみ適用されるものです。採取依頼の場合、組合経由でなく依頼主に直接届けても依頼達成です」

「わかりました。ありがとうございます……これ登録申請書です」

 

氏名 セリア・クリスティー。もち偽名。本名で登録すると色々面倒そうだから元の世界で使っていたネットアバター名にした。年齢 18。ここは偽る必要ないからね。種族 人間。転成魔人なんて当然書けません。職業 魔法剣士。


「はい、確かに受領しました。では、セリア・クリスティーさん、冒険者証明書であるカードをどうぞ」


 男性に手渡されたのは光沢のあるカード。


「こちらは魔法石を加工したカードです。これとそこに置かれた魔法石に魔力を込めて頂けば、契約完了です」

「わかりました。ところで、やはり女性の冒険者志望って珍しいんですか?」

「そうですね。女性で冒険者になられる方はほとんどいませんし、いるにはいますが、今まで見た事はありませんね。危険な職業ですからね。まだ間に合いますが、やはりお止めになられますか?」

「いえ、大丈夫です。お気づかい感謝します」

 ありがたい気づかいだが、丁重に断る事にした。魔王に匹敵する力を持っているなら、それを利用できる職業を選択するのは当然だから。

「では、さっそく何か依頼をお受けになられますか?」

「あ、今回は登録にきただけでして。これからエリシタン公国へ向かうので、依頼はそこでするつもりなんです」

「そうですか。では、道中お気をつけてくださいね」


 依頼書であろう書類を吟味する男性の気使いを丁重に断り、お礼を述べて扉へと歩く。


「おう姉ちゃん。女なのに冒険者なんて度胸あるじゃねぇか。どうだい?慣れるまで俺達とパーティー組まねぇか?手とり足とり冒険者の何たるかをレクチャーしてやるぜ?」

「いえ、大丈夫です。またの機会があればお願いしますね」


 若干どころか大分下心のある提案をやんわり断りつつ組合を出る。

 組合を出たところで大きくひと伸び。


「さて…と。とりあえず旅の必需品を買って、この国を出ようか。そんで外で力試しがてら戦闘しながらエリシタン公国を目指そうか」

『了解した。力試しに最適なのはスケルトンやコボルトだが、どうやら他にも相手は別にいそうだ』

「あ、やっぱり気付いてた?同族殺しなんてしたくないから勘違いであってほしいんだけどね」

『君はもう魔族だろう。同族ではないんだから気にかける必要はない』

「心はギリ人間ですから」


 そして道具屋と薬屋で必需品を買うと、リュックにアイテムを入れて国を出る。

 スケルトンやゴースト、リビングアンデッド(ゾンビ)などは昼に出現しないため、昼夜問わず活動するコボルトを探しながら道をテクテクと歩く。そして一時間ほど歩いたところで、敵は現れた。


「あっちゃあ~…外れてほしい読みが当たっちゃったかぁ」


 道中を進む私の前に現れたのはコボルト……ではなく、冒険者組合にいた冒険者達。

 誠実そうな青年冒険者や先の飲んだくれセクハラおやじ冒険者ではなく、組合に入ってから出るまで視線を向けていた冒険者達。世紀末に出てくるヒャッハーな奴らそっくりだ。


「へへへ、まさか嬢ちゃんみたいな別嬪さんが冒険者とはな」

「別嬪さんなんて、うれしい褒め言葉だなぁ。ところでそこにいられると通行の邪魔なんでどいてくれません?」


 ゲスい目で舐めまわすように見てくる強面スキンヘッドの言葉に、照れるフリをしながらどくよう促す。


「折角の獲物をみすみす逃すようなこと、すると思うかい?」


 デスヨネー。

 やっとトラブルメーカーから離れて得た平穏は、僅か一時間。泣きたくなってきたなぁ

 はあ。まあ愚痴っても仕方ないから切り替えよう。


「いや全然。だってあなた方、他の冒険者と視線の種類が違いましたもん」


 組合内でずっと感じた視線。間違えようがない。

 元の世界でヤクザと海外マフィアの抗争に巻き込まれた時やブッ潰した暴走族の残党から狙われていた時に感じたものと同じ。

 でも冬樹が放課後に教室まで迎えにきて「夏姫ー、一緒に帰ろうぜ」とほざいたときの女子の視線に比べればなんてことはない。あの視線は下手すれば人を殺せる。嫉妬に狂った女は、時としてヤクザ屋さんやマフィアより怖いのだ。


「一日に二人も別嬪を捕まえたとなりゃお頭も喜ぶだろうぜ。嬢ちゃん、どうだい?抵抗しなきゃ痛い目見ねぇで済むぜ?」

「抵抗しようがしまいが一緒でしょ?どうせ縄で縛ってアジトへ帰って身ぐるみ剥いで私の○○○にあんたらの×××を△△△して、ピーしたうえズキューンしてズガガッした後息も絶え絶えな私にグチャッして***してフィニッシュにバキューン。そんで一週間かけてズバッや□□□や###やズドンッを楽しんだ後、奴隷商人とか人身売買やってる商人に売り払うつもりなんじゃない?」


 ピシリ、と空気が固まった。

 下卑た視線が徐々に憐れみの視線にかわる。

 え?何この空気?


『ナ、ナツキ……。君は元の世界でそんな壮絶な責苦を味わったのか?』

『え?いや、違』

「嬢ちゃん、おめぇそんな酷ぇ目にあったのか?」

「あってませんけど!?何で今まさに私を襲おうとしてるあなた方が哀れみの目で私を見てんの!?」


 さっき言ったのは、かつて売春の斡旋をしていたアダルトショップにカチコミを掛けた際に読んだ18禁の凌辱モノの内容を二倍増しで盛ってみたもの。

 異世界では勿論のこと、元の世界でも情状酌量の余地なしの無期懲役か死刑確定ものの犯罪のオンパレード。実際フルコースやられたら廃人になりそうな誰もがドン引きなヒャッハー犯罪冒険者でさえ憐憫の目で見るエグさなのだ。


「え?だってこの世界ならそれくらいやってんじゃないの?」


 ブッ飛んだ精神異常者でもない限りそこまでしない。


「まあでも、襲う相手と状況を間違えたね。それがあなた達の敗因」


 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆


 少女の末恐ろしいカミングアウトを聞いて、スキンヘッド含めヒャッハー冒険者もどきがこの少女は見逃そうかななどと軽く思いつつ、少女を捕えるため動く。


「あ? なに言ってんだガキ」

「ハッ。どの道テメェはアジトにいる女ごと楽しんだ後に売り払ってやるから覚悟し……」


 もう話は終わりだとばかりに剣に手をかける強面スキンヘッド。しかし話の途中で少女は消え、強い風がヒャッハー冒険者達を襲う。


「へぇ…なんか聞き捨てならないセリフだね。もしかしてお宅らのアジトに攫われた人たちが何人かいるのかな?」


 ヒャッハー冒険者達が反射的に後ろへ向くと、少女の姿がある。その右手は、少女に脅しを掛けていたスキンヘッドを貫いていた。 

 何故だ。どうして女があそこにいる?さっきまで自分達の前にいたはずの女が何故背後に……。


「一応冒険者ではあるようだけど、犯罪者っぽいし生かしとかなくてもいいか……まずは、刀の試し斬りから」


 独り言を呟きながら腰に吊った刀を抜く。


「テメェっ!なにしやがっ……た」


 ヒャッハーBが叫ぶ。と同時に少女の姿が消えた。


「よく斬れるなこれ。頸動脈狙ったつもりが首を両断しちゃったよ」


 また背後から声がする。

 振り向くと同時に何かが落ちる音がした。首だ。叫んでいた仲間の首が落ちていた。


 何だ。一体なにが起きた?突然少女が姿を消したと思えば背後から現れて仲間が死んだ。

 また姿を消したかと思えばまた背後に現れ、叫んでいた仲間の首が落ちた。


「それで、質問に答えて欲しいんだけど」


 質問する少女。

 しかし、言葉は出ない。

 否。動かない。

 気が付けば、身体が、指の一本に至るまで動かせない。

 恐ろしい。少女のあおい眼に身体がすくむ。身体から発する雰囲気が、身と心を威圧する。生きた心地がしない。

 何だアレは? 何なんだアレは? 人間なのか? ヒトの皮を被った死神ではないのか?

 少女がこちらへ歩み寄る。

 

「ヒッ」


 誰かが小さな悲鳴を上げた。

 身体が震える。奥歯がガチガチと鳴る。

 逃げたい。アレは人間ではない。自分達は選ぶ獲物を間違えたのだ。

 アレは少女の姿をした死神だ。そして獲物は自分たちだ。逃げねば殺される。

 逃げろ。逃げろ逃げろ逃げろ!

 動け。動け動け動け!!さもなくば死ぬのみだ!!


「逃げろっ!」


 誰かが叫んだ。

 その声で身体の硬直が解けた。

 動く!

 ヒャッハー冒険者達は我先にと少女に背中を見せ、転んだ。

 走りだした直後。闇が視界を覆ったのだ。

 突然の無音の暗闇に惑い、こけた。


「『無音のサイレント・ダーク』」


 唯一視覚と聴覚を失わず足の拘束だけで済んだ男の耳に、その言葉が入る。

 少女が、仲間に手を向けていた。


「あと、これも試してみるかな」


 仲間の頭を包む闇は次第にジタバタともがく仲間の身体を包みこみ、全身を覆ったところで少女は手を握り言葉を紡いだ。


「『混沌の処女カオス・メイデン』」


 ドシュゥッ!


 音がした。何かを貫いたような音。

 仲間の身体を覆う闇はゆっくりと溶けるように消え、全身風穴だらけの絶命した仲間が崩れ落ちる。

 絶命した仲間に目もくれず、少女は次の呪文を紡ぐ。


「挟み潰せ、『挟岩衝サンドロック・プレス』」


 『無音の闇』で拘束した男を両側から隆起した板状の岩がサンドイッチ。

 挟んだ衝撃で生じたヒビから赤い液体が流れ出す。


「な、何なんだあの魔法は!?」

「殺せ!また魔法を展開される前に殺すんだ!!」


 仲間の一人が叫ぶ。急いで魔法を紡ごうとするが、既に遅かった。


「穿て、『雷穿槍ライトニング・スピア』!」


 掌からバチバチと音がしたと思えば、次の瞬間には男の心臓を焼き貫いた。

 それはさながら飛ぶ雷の如し。


 男は最後の言葉を残す事も許されず血を吐いて息絶える。

 何と静かながらに苛烈な攻撃か。


「こ、このガキいいいいいいっ!!」


 叫び上げたオールバックヒャッハーが剣を抜き、少女へと突進した。

 少女は小石大の火球を生成し、突進したオールバックヒャッハーへと人差し指と親指を立ててバンッと呟き、発射した。

 途端にオールバックヒャッハーはピタリと止まる。震えて動けない最後の一人は、何故止まったかを理解できなかった。


「WHO IS SAY、ART IS『爆発エクスプロージョン』」

 誰かが言いました。『芸術は爆発だ』


 少女のパチンと指を弾く音の直後、オールバックヒャッハーの身体は内から爆発し、飛び散った。



 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 7人の内1人だけを残し、6人目を殺し、ポリポリと頭を掻く。

 なにも、感じない。人を殺したハズなのに、なにも感じないのだ。

 最初の一人でさえ、殺すつもりはなかった。ただ力を抑えてぶん殴ろうと走ったつもりなのに、思いのほか速すぎ、心の臓を貫いてしまった。それでもなにも感じない。

 これは魔人化によるものか。まあ戦場じゃ気を抜いたら死ぬっていうし、思いながら更に力を抑えてもう一人を斬る。


「この刀、めっちゃ斬れるな。首が綺麗に飛んだよ」


 と呟きながら、残り4人を魔法で練習がてら始末する。

 かなりエグいやり方で殺したのに、それでもなにも感じない。まあいっか♪とさえ思う。

 ガタガタと震えあがる男に近づき、問うた。


「なんであなたを残したか、分かる?」


 男は首が千切れんばかりに横に振る。


「それは、アジトの場所を吐いて私をそこに連れて行くため。出来る?」

「い、言うとおりにしたら…見逃してくれるか?」

「んー、そうだね。見逃す方向で考えてあげるよ」


 ウソです。見逃すつもりなんてさらさらありません。人を凌辱した揚句売り飛ばすつもりで襲ってきといて命乞いなんて甘いにも程があります。


「わ、わかった。連れて行くよ……。あ、アンタ一体何者なんだ?」


 問いにうーんと考えたあと、にっこりこう言った。


「見た目は可愛い女の子、頭脳は孔明な冒険者よ」

 

 孔明は言いすぎたかな、せめて太公望か。


「それじゃ無駄話はここまでにして、アジトまで案内してもらいましょうか?」




 ☆    ☆    ☆


 下っ端に案内されたのは、襲われた場所から歩いて30分ほどにある洞窟であった。


「この洞窟、他に出入り口はある?」

「い、いや…出入り口はあそこだけだ」


 なるほど、出入り口は一つのみか。

 どうやって攻め落とそうかなぁ……と作戦を練っていると………。


「おーい!襲撃だぁー!!」


 と大声で叫びながら洞窟へ走って行く男。

 ホワイ?。とか思いながらも思考は止まらない。

 あの行動はなんだ?……ああ、成程。と納得する。

 考えられる理由は二つ。前者 失いかけてた忠誠心的なものが移動中に戻りだし、仲間に襲撃を知らせた。後者 相手は強い。7人もいたのにすぐに殺された。だが、アジトに行って仲間全員で掛かれば捕まえられる。無理でも殺害できる。

 ちっ面倒な事をしてくれたのもだ。洞窟に着いた時点で始末しておくべきだったか。いや、まだ手はある。

 

「『影鞭シャドウ・ウィップ』」


 木の影で闇の鞭を造り、男の首に巻きつける。影がなくとも造れなくはないが、触媒があった方が魔力消費は少なく済む。

 鞭を手繰り寄せて男を引き摺ると、男は気絶していた。まあ頸動脈が締まるから当然だけど……。この男には後ほど組合で今までの悪事を洗いざらいゲロッてもらうので太めの樹に縛り付けておく。

 とまあそんな事をしている間にゾロゾロと出てくる出てくる。人数は3…4…5人、大した数ではない。

 しばらく待っているが、それ以上出てくる気配はない。こいつらは斥候か……となれば、騒がれると面倒だ。

 縛り付けている男の短剣を向こうの茂みへ投げる。ガサッという音がして、全員がその音源に向いた。今だ。


 地面を強く蹴る。茂みを飛び越え、一気にトップスピードを保って一番近くの男の首を斬る。

 おお、首が飛んでった。なんで? 

 いや撥ねるつもりで斬ってない。ただこの刀が予想以上に切れすぎるだけ。喉を斬るつもりで振ったら首はねちゃった。

 まあいいや。ともかく一人目を殺害し、その光景をいち早く目撃した右斜め後ろの二人目をダガーを放ち黙らせる。そして間近にいた三人目にとび蹴りで倒し、勢いそのままに強烈な踏みつけで首の骨を折る。ちょうど真後にいる四人目には回し蹴りを喰らわせ、倒れたところを刀で脳天をズドン。最後の五人目には心臓と頭にダガーを放っておしまい。この一連の攻撃に45秒くらい。人間時では不可能な動きでした。

 全て喉元と頭を狙ったのは即死させられるから。喉元掻っ切れば声出せないし、脳にナイフが突っ込まれたら痙攣して声を出すどころじゃなくなる。万が一発しても、それは言葉ではなく意味の持たない雑音に過ぎない。


「……ふう」


 一息ついて、額を拭う。汗かいてないけどね。

 

「さーて、と。どうしよっかなー」


 洞窟の攻略法は様々ながら、大まかには二つ。

 一つ、このあまりある力で強行突破。二つ、先程と同様に静かに洞窟内を掃除。

 一つ目は早めにカタがつくが、洞窟内の人間全殺し。二つ目は全員捕縛出来るが、めっちゃ時間がかかるだろう。メタル○アとかめっちゃ攻略に時間掛かったし。

 うーん…ふーむ…ぬうぅ。


 ポン ポン ポン ピーン!


 名案浮上。よし、これで行こう。

 軽くストレッチして、深呼吸一つ。


「さあ、それじゃ行きますか」


気持ちを新たに洞窟へと入った。

戦闘シーン……つらたん。

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