異世界へ迷い込む
はじめまして。名瀬ナオです
ファンタジーは二作目です。
稚文ですが、皆様に楽しくお読み頂けるよう改善いたしますので、宜しくお願いします。
人生は何があるか分からない。20年の人生を振りかえるとそんな言葉が出てくる。
これまでの人生色々あった。あ、これ死んだかも…。と思った事も一度や二度ではない。
小中生のころには中高生相手にケンカしたし、高校生の頃には暴走族やヤクザを相手にしてきた。
刃物や拳銃向けられた時はマジで死を覚悟した。
おかげで暴走族 ヤクザや警察の方々に繋がりを持てた。
だから、ちょっとやそっとじゃ驚かない強靭な精神力も得た。
ああ、今思い返せばえげつないほど過激な人生送ってるなぁ。
かわいそう?同情するなら平穏をくれ。
まあとにかく、そんなこんなで波乱万丈なんて言葉が生ぬるいほどの生活を送って来た。
しかし、しかしである。
そんな過激な経験してるからって、異世界に迷い込んだら驚くよね。
いかに過激な学生生活送ってるからって、アニメやラノベみたいな出来事が自分の身に降りかかるなど普通想像しない。
それは、17歳の夏。いつも通りの日常の中で起こった。
学校の帰り道。私はため息をついた。
「どうした夏姫?ため息なんかついて。何かあったか?」
「あるよ。アンタに3時間みっちり説教したい」
ため息をついた私に、ため息の理由を問いかける冬樹を棘のある言葉で返す。
そう、ため息の原因はこいつ。学校一の人気者である柊冬樹だ。
身長180センチと長身で超絶イケメン。文武両道で性格も明るく、誰にでもわけ隔てなく接し、優しく包容力もある。そしてお人好し。
故に女子に絶大な人気を誇る。女子の人気者ゆえ男子に嫌われているかと言えばそうでもなく、むしろ男女両方に慕われている。
学内では『柊から学ぶ男を磨く塾』というよく分からん塾が結成され、『柊ファンクラブ』なるものが女子の間で結成されている。
弱きを助け強きを挫く、イジメは許さないが信条。トラブルメーカー
たいして私 榎本 夏姫は、身長165センチとそこそこの身長。容姿は、まあそこそこ良い。
美形な母の遺伝子を強く継いでいるからだろう。父さん?人並だよ
学力人並み剣道空手柔道の有段者。誰にでもわけ隔てなくは接さず、ある一定の条件を満たした者とのみ接する。
優しくはない。女子からの評価は『柊君と仲のいい上気取った女』 男子からの評価は『柊と仲が良い絡みにくい男勝りな女』
他人に迷惑をかけない。自分に厄介事を持ちこむ奴とは関わらないが信条。
ちなみに冬樹とは幼馴染み。こいつと幼馴染みでなければ良かったと思った事数知れず。
因みにトラブル吸引体質。忌々しい体質だよまったく。父さんもトラブル吸引体質だったらしい。そんなの受け継ぎたくなかったよ。
今日も今日とて、10分前に仲間をやられた報復に来た不良グループをシバいた。
原因は初対面のサラリーマンが不良にカツアゲされた所を冬樹が見つけ、不良をぶん殴った事。
私は赤の他人の厄介事に自分から突っ込んでいくようなMっ気はないので参加しなかったが、その後何故か私と冬樹が一緒にいる時にのみ襲ってくるため、ケンカに参加せざるを得ず、気が付けば奴らに顔を知られ報復の対象に含まれてしまった。
「何で冬樹の揉め事に巻き込まれにゃならんの。学校外でまで危険にさらされるなんて冗談じゃない」
「そう言うなよ。奴らの目が俺たちに行くことで、他の皆が安全なんだ。そう考えればいいだろ」
ニコリと言う冬樹。
残念ながら私はアンタみたいなポジティブシンキングは出来ないよ。
「何故警察に通報するという選択肢が出ないの? 確かに他の奴らは安全だろうね、でも代わりに私達が危険にさらされてるんだ。ケンカしたけりゃすればいい、だけど私を巻き込むなアホ」
「お前、俺と同じで有段者だろ。力があるなら正しい事に使うべきじゃないか」
力を正しい事に使う。確かに正論だよ?正論だけど、その結果がこれなんだよ。
そもそもアンタと私とは価値観や優先順位が違うんだ。
他の奴に聞いてみろ、皆絶対関わらないって言うから。
誰しもアンタみたいな自己犠牲な性格してると思うなよ?
「私が武術を習ってるのはアンタが持ってくる厄介事の飛び火から身を守るためだ。そして私が武術を習わざる負えない原因を作ったのがアンタだろうがこのドアホ」
そしてあーだこーだと議論しながら歩いていて、河原を歩いていた時に事件は起こった。
「………これ、なんだろうな」
道のど真ん中に存在するモノ。舗装されたアスファルトに青白い星印が浮かびその中心に大きな円がある。
魔法陣。
とっさに出た言葉をすぐに否定する。
そんなもん現実には存在しない。そんなものはアニメやラノベだけの産物だ。
じゃあ、これは何だ? 分からんが本能が訴えている。関わるな………と。
「さあね。ヤバそうだし、関わらん方がいいよ」
さっきから本能が警報をガンガン鳴らしてんだよ。
ムシれ。いやむしろ逃げろ。って
「でもさ、急に俺らの前に出て来たじゃん。これって何か意味があるんじゃないか?」
「意味があったとしても、こんな非科学的なモノに触りたくない。何か異世界にワープしそうだし、放っとくのが一番だよ。別に避けて通れないってわけじゃないんだから、ほら帰るよ」
そういって私は魔法陣というかワープゾーンというかよく分からん物体を迂回して歩き出す。
三歩歩いて止められる。
「………何?」
不機嫌そうに振り向いて聞くと、そこにあったのは笑顔で目をキラキラさせた冬樹。
これはヤバい。
そう思ったのと冬樹が動いたのは同時だった。
「面白そうじゃないか。行くぞ夏姫!」
「ちょ、まっ!?」
手を振りほどこうとするが、男と女じゃ腕力に差がある。
つまり振りほどけない。
そして私の体は冬樹と共に虚空の中に吸い込まれた。
「ふざっけんなこんのボケがああああああっ!」
という榎本夏姫の人生最大の絶叫と共に。
ワープゾーンをくぐりぬけ、眼下に広がる景色は先程の河原………ではなく、中世にありそうな造りの建物と真っ黒なローブに身を包んだ10人ほどの人らしき存在だった。
「……冬樹」
「何だ?」
私は無言で冬樹をド突く。
「いって!何すんだ!?」
「何すんだはこっちのセリフだアホ!何私を巻き込んでくれちゃってんの!?」
「だって一人で行くのは心細いし、夏姫と俺なら大抵なんとかなるだろ?」
「知るか!好奇心旺盛大いに結構、けど私まで巻き込むとかふざけんなよ!?」
「あ、あの」
「なにっ!?」
重々しい空気を無視してぎゃあぎゃあと喧嘩を始める私達に、ローブを着た少女がおずおずと話しかける。
しかし丁度マジでキレていた私は、荒い口調で答えてしまった。
「っ!?」
「あ、す…すみません。……それで一体なんでしょう?」
とりあえず脅かしてしまった事を謝り、深呼吸して落ち着いてから丁寧かつ優しく問い掛ける。
「えっと、あなた方が…勇者様でしょうか?」
「は?」
記念すべき第一作目
異世界へワープするまでの過程です。