中編
あれからゲームに負けた後、特に体に異変はなかったが、なんとなく気分が優れない。
今日はめでたい日だったはずなのだが・・・。
家の前についた。
1年前に結婚したばかりなので、可愛い妻が出迎えてくれるはずだ。
自分で言うのもなんだが、かなり可愛い妻だ。
「ただいまー」
「おかえりなさい、あなた」
そう言って出迎えてくれる妻の姿はオレの知らない人だった。
いや、正確には知っているかもしれない、そんなあいまいな気がした。
「・・・?どうかしたのあなた?私の顔を初めてみるような顔して。まさか、結婚して一年も立つのに私の顔忘れたの?・・・ふふ、なんてね?」
どうやら、紛れも無くオレの妻らしい・・・。
しかし・・・。
これは・・・。
可愛くない。
明らかに可愛くない。
おかしいな、もっと可愛かったような・・・。
なんだか記憶が混乱しているみたいだ。
「うーん、なんだか、体調が優れないみたいだ。ごめん、今日はもう寝るね」
「そー、残念ねー」
とりあえず、そのまま、家に帰り、風呂に入って寝る。
翌日もなんだか、もやに包まれたようなあやふやな感じで出社する。
まぁ、昇進したあとだし、仕事を開始すれば、はっきりとしてくるに違いない。
・・・あれ・・・?
おかしい。
確かに昨日、オレは辞令を受け取って、課長に昇進したはずだ。
なのに、課長の席にはいままで変わらず、いつもの上司が座っていた。
「キミィ、何、変な顔しとるのかね?私の顔に何かついているかね?」
「・・・いえ、そういうわけではないんですが・・・。あれ?昨日、私、辞令を受けましたよね?」
「ん??何寝ぼけいるのかね?辞令など何も出とらんよ。なんだったらそこの掲示板で確認したまえ」
・・・確認してみると、確かにそんな辞令はでていない。夢だったのだろうか。
いや、違う、確かに昨日受け取ったはずだ。だからこそ昨日は浮かれて飲んで・・・。
・・・!!
そうか、間違いない、ヤツだ。
この不思議な現象はすべて昨日のゲームが原因なのだ。
オレはようやく、全てがつながった感じがした。
どうやら、ヤツに勝って取り返す必要があるみたいだ。
いいだろう、オレの本気を見せてやろうじゃないか。
・・・続く。