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恋煩い
私に初めて彼女ができたのは、高校三年の秋だった。
特別モテなかったわけではない。ただ、友達といる時間の方が気楽で、恋人を作る理由が見つからなかっただけだ。
一目惚れではなかった。
恋人がいるというのは、どんなものなのか少し興味があった。それだけだった。
どうせ長くは続かないだろうと思っていた。学生の恋愛なんて、そんなものだと決めつけていた。
初めてのデートは清水寺だった。
ライトアップされた舞台が見られるらしい、と二人で決めた。
境内は押しつぶされそうなほどの人混みで、はぐれないように私は彼女の手を引いた。
その瞬間、彼女は驚いたように目を見開き、それから少し頬を赤くした。
寒さのせいだけではない気がした。
目を逸らしながら、それでも何度もこちらを見ようとしている。
──ただ、それが可愛かった。
誤算だったと思う。
私といる時間を、こんなにも大切そうに笑う人だとは思わなかった。
その笑顔を見たとき、胸の奥が少しだけ騒がしくなった。
気づけば私は、彼女の歩幅に合わせて歩いていた。




